【博物館】窖窯を見学しよう!「窯の記憶」(愛知県陶磁美術館)

愛知県陶磁美術館にある窖窯を見に行ってきました。瀬戸物にも興味はあるけど、今回この美術館に来た理由の一番の目的はこれかもしれない。
南山8号窯跡

斜面をトンネル状に掘った窖窯で、当時の東海地方の人々の生活必需品だった食器類が焼かれました。製品が水平になるように床に据えた焼台が残っています。
【噂の焼台】

南山9-A~9-D号窯跡と合わせ、計5つの窯が200年以上断続的に操業していたらしい。
【南山8号窯で見つかった須恵器】

途中11世紀~12世紀全容に創業した南山8号窯跡の後、100年ほど休止期間を挟み、その間も作り手たちは周辺に窯を築き、食器類を焼き続けていたのだそう。
【南山8号窯を上から見た様子】

焼台の跡もくっきり残っていて、保存状態も良い。時代的には平安時代~鎌倉時代(11世紀~14世紀)。この窯跡は、駐車場を造成する際に発見されたんだとさ。
南山9号窯跡

南山8号窯跡とともに発掘され、4つの窯跡が見つかり9-A~9-D号窯跡と命名されました。
【南山9号窯】

特に9-A・9-B号窯跡は状態が良く、当時の窯の全体像がよく分かります。
【南山9号窯で見つかった須恵器】

4つとも斜面をトンネルのように掘った窖窯で、当時の東海地方の人々が使った食器を焼いていました。
【南山8号窯を上から見た様子】

操業の順番は、9-D⇒8⇒9-A・9-B⇒9-Cの順番なんだそう。
【南山8・9号窯の編年】

っていうか、さっきの100年ほど休んでいたもそうだけど、なんで操業の順番が分かるんだろう?地層や遺物からかな?記録でも残っていたのだろうか?
市道1号窯跡

愛知県豊橋市市内の発掘調査で発見された窯跡。時代的には平安時代(9世紀)のしろもの。
【市道1号窯跡の全容】

この窯では、近接する寺の瓦が焼かれていました。
【瓦を重ねて作った畦】


窯の上部は失われていますが、不要な瓦を重ねて畦を作り、炎の通り道にした構造が良く残っています。古代の瓦専用の窯が見学できる愛知県内唯一の窯跡らしい。
連房式登窯・大窯

連房式登窯

江戸時代~明治時代(19世紀)に瀬戸窯(愛知県)で磁器や陶器を焼いた連房式登窯の復元
大窯

室町時代(15世紀~16世紀)に瀬戸・美濃窯(愛知県・岐阜県)で陶器を焼いた大窯の復元
窯の記憶

愛知県陶磁美術館の敷地内には、南山8号窯や南山9号窯という、平安時代から鎌倉時代の窯跡が保存展示公開されています。この2つの窯は移築や復元されたものではなく、実際に現在の場所で発掘され現地保存されたものです。
いずれもほどん・展示公開されている窯跡としては全国屈指の保存状態で、使用された当時の姿を今に伝えています。
さらに周辺の視野を広げると、北方に600箇所を超える瀬戸窯の窯跡が広がり、南西には瀬戸窯の源流となった猿投窯の窯跡が100箇所以上広がっています。
さらに、知多半島には2000箇所以上広がった常滑窯、渥美半島全域に400箇所以上広がった渥美窯をはじめとした太古窯跡群が存在します。
なんかそれを踏まえると、愛知県は陶器のメッカだね。それも現代の陶器だけでなく、太古の昔、それこそ土器の時代から焼き物をリードしてきた県なのかもしれない。
【全国各地の古窯からの出土品】



陶器づくり体験ができる陶芸館

美術館の中の磁器や陶器も見どころだけど、こうやって古代の須恵器から現代の瀬戸物へと続く窯跡の変化を実際に見られるのはかなり貴重な体験だと思う。あと、古くは土器から始まって、現代の陶磁器へとつながっていく変遷を感じられるのもエモいね。

今回は時間がなくて参加できなかったけど、大昔の土器づくりなどに思いを馳せながら、陶芸体験なんかをしてみるのも良いかもしれない。
